本研究の目的は、メーカーとサプライヤーの間のSCMを対象に、平準化をベースとした生産計画・生産・資材発注システムを開発し、数値実験によってその性能を従来のMRPシステムやかんばん方式と比較・評価する。同時に、日本の代表的メーカーとそのサプライヤーにおける生産計画・生産・資材発注のプロセスを訪問調査し、開発するシステムの実用性を向上させることである。具体的目標は以下の通りである。 1)メーカーとサプライヤーの間のSCMとして整合する生産計画立案モデルならびに生産・発注指示方策を構築し、数値実験を行って、開発したシステムの妥当性を確認する。 2)メーカーおよびそれらのサプライヤーを訪問調査し、現実のSCMにおける課題を整理するとともに、本研究で開発するシステムの実用性を高めるための基礎資料を収集・整理する。 3)本研究で開発したシステム、MRPシステム、およびかんばん方式をシミュレーション実験によって比較し、開発したシステムが適合する需要と生産の環境条件を明らかにする。 上述した3つの達成目標の中から、平成22年度は、従業員数が100名前後のサプライヤーを中心に30社を調査し、親メーカーが平準化発注を行うことの重要性を確認した。また、いくつかの生産・在庫モデルを設定し、平準化ベースの生産計画や発注指示方策の性能を、MRPシステムやかんばん方式とシミュレーション実験によって比較し、平準化の有効性を確認した。
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