研究概要 |
本年度は,実際に幅広く採用されているオープンソースプロジェクト方式などの次世代型ソフトウェア開発環境も考慮した上で,ソフトウェア品質・信頼性に影響を及ぼすプロセス要因の分析を行い,現実的な信頼性要因を考慮してソフトウェア品質/信頼性モデリングとその評価を行った.研究手順は以下の通りであり,所期の研究成果を得た. (1)平成22年度の研究計画・方法におけるソフトウェアマネジメントモデルを組み込んだ定量的品質・信頼性評価法のレビューと改善. 開発は同じウォーターフォール型開発形態を取っていても,QCD(品質・コスト・納期)に関係する測定メトリックスは組織によって異なるので,ある程度どの組織にも共通するプロセスの要因分析から始め,つぎに当該組織特有のメトリックスについて検討し,有意なプロセス要因を抽出した.このとき,多変量解析法が特に有用であった。 (2)次世代ソフトウェア開発方式として,オープンソースプロジェクト方式も取り上げて,製品品質に影響する要因の整理・把握,および定量的品質・信頼性評価法の提案. 従来からテスト工程や実際の運用段階におけるフォールト発見現象を記述するソフトウェア信頼度成長モデルの考え方を導入して,確率過程論や確率微分方程式に基づいてモデル構築を行った.さらに,オープンソースソリューション構築に対するモデリングも議論した. (3)実際のソフトウェア開発プロセスについて,品質指向ソフトウェアマネジメントに有効なプロセス要因の抽出と品質・信頼性に影響を及ぼす影響度合の考察. 実際のソフトウェア開発プロセスのプロジェクトマネジメント強化のために実施されるプロセス監視に関するデータを用いて,ソフトウェア信頼性モデルを適用した定量的プロセス品質評価法のプロトタイプを開発・提案した.
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今後の研究の推進方策 |
ソフトウェア開発の結果としてのQCDのマネジメント要素と,人的要因も含めて開発プロセス要因が多様に絡んでいるソフトウェア開発プロジェクトも実際には多いため,これらの関係を明確にする手法,例えばFMEA(Failure Mode and Effect Analysis)や品質機能展開(QFD)の適用についても考えていく必要があると思われる,
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