研究概要 |
平成23年度は,平成22年度に行った,AGVによって仕掛品の搬送を行う生産システムのモデル化を基に,多重負荷AGVを運用するためにはどのような運用ルールを決定すれば良いのか,またその運用規則を規定する性能指標にはどのようなものが利用できるのかを検討した. 多重負荷AGVの導入は生産ラインの効率化を図り,マテリアルハンドリングコストの削減に繋がる.その上で,本研究では生産ラインのスループット(単位時間あたりの完成品の個数)を最大にすることを目的とした.これは,限られた資源・時間の中でいかに多くの製品を作るかを考えることが,多重負荷AGVのメリットを最大限活用することになるからである.しかしながら,実際に運用ルールを提案する際には,次にどのタスクを行えばスループットが最大になるかを判定することは難しい.そこで本研究では,機械の稼働状態の推移を考慮し,直近の機械のアイドリング時間を可能な限り減少させるように次のタスクを選択する運用ルールを提案した. また,このルールによるスループット向上を検証するために,生産システムの生産効率を求めるシミュレーションも開発し,近い将来の稼働状態の推移をも踏まえ,複数先のタスクを見越した動的なスケジューリングを行うことが,スループットに対して大きな有効性を持つことを明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
一度に複数の荷物を運ぶことが可能な多重負荷AGVの持つメリットは大きいが,運用ルールを決定する際に考慮しなければならない項目も多く,制御も難しいとされている.本研究ではこれまでに,運用ルールの枠組みを提案することができ,運用ルールを規定する性能指標についてもシミュレーション実験を用いた検討が順調に進んでいる.
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