研究課題/領域番号 |
22510157
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
森澤 和子 大阪府立大学, 工学研究科, 准教授 (60220050)
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研究分担者 |
平林 直樹 大阪府立大学, 工学研究科, 講師 (80199091)
長澤 啓行 大阪府立大学工業高等専門学校, 校長 (30117999)
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キーワード | システム工学 / 医療・福祉 / スケジューリング / アルゴリズム |
研究概要 |
本研究の目的は、看護師一人一人が家庭環境に配慮しながら無理なく働くことができ、かつ質の高い看護を常時提供できる体制を確保できる良好な勤務表を自動作成するためのシステムを構築することである。 平成23年度はおもに、(1)前年度の研究によって問題点が明らかになった「ヒューリスティック・ルールに基づく静的スケジューリング法」の改良と、(2)1日限りの欠勤を想定して開発した再帰的代替勤務者探索アルゴリズムの複数日連続欠勤対応への拡張に取り組んだ。 (1)のヒューリスティック・ルールに基づく静的ナース・スケジューリング法の改良については、この方法による解と、同じ看護師勤務表作成問題を整数計画問題として定式化して最適化ソルバー(IBM ILOG CPLEX12.2)で解いて得られた最適解を比較・分析し、ヒューリスティック・ルールの改訂とその優先順位の変更、感度分析に基づくパラメータの調整などを行った。その結果、改良前と比べて目標制約条件違反の少ない勤務表が作成できるようになった。また、改良後の勤務表は、欠勤を1日限りに限定した場合には、勤務表修正(動的スケジューリング)が少ない勤務割当変更で可能という意味で改良前よりも頑健なものであることも確認できた。この成果の一部は、2011年8月に開催された国際会議で発表した。 (2)の動的スケジューリングのための再帰的代替勤務者探索アルゴリズムの拡張については、すでに有効性が示されているこのアルゴリズムの基本構造を維持しつつ、代替勤務者の選定ルールを修正し1週間までの連続欠勤にほぼ対応可能なアルゴリズムを構築した。しかし、絶対制約条件をすべて満たした実行可能な修正勤務表が作成できないケースがまだいくつか見られることから、その原因の分析とアルゴリズムの改良に引き続き取り組んでいく必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
一時的看護師不足に対応するための動的スケジューリング法は、静的スケジューリングで作成される勤務表の質を考慮して検討を進める必要があるが、利用予定の静的スケジューリング法に改良の余地があることが研究の過程で判明し、その対応に予想以上に時間を要したため。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は当初の計画外の検討事項が発生したため予定より若干遅れが生じたが、静的スケジューリング法を改良できたことにより、本研究課題の主目的である一時的看護師不足に対応するための動的スケジューリング法の開発を進めるためのより良い土台を確立できた。研究計画を変更する必要はなく、今後は動的スケジューリング法の開発に注力し、そのアルゴリズムを確定したうえで、静的/動的スケジューリングシステムを統合した実用的なナース・スケジューリングシステムの完成をめざす。
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