研究概要 |
本研究は生産性の高い倉庫の設計をすることが目的である.本研究テーマの初年度となる平成22年度は,倉庫の設計・運用法に関する国内外の様々な文献を調査し,当該分野の研究状況を把握した.倉庫は,受入・保管・ピッキング・包装・出荷の各作業から構成されるが,これらの中でもとりわけ,ピッキング作業には大きなコストがかかり,倉庫全体の生産性向上を実現するためにはこのピッキング作業を如何に行うかが非常に重要であることが明らかになった. 次に,このピッキング作業の現状を調査するために,日用雑貨品を扱う大手卸業者の大規模倉庫を調査対象として実態調査を行った.この倉庫では,毎日数万点の商品を約100名のピッキング作業者がカートを使いピッキングしている.ここでは,納品先ごとの必要な商品を一人の作業者がすべてピッキングするバッチピッキングと呼ばれる方法でピッキング作業を行っているが,倉庫内の通路で作業者間の干渉による停滞(ブロッキング)が頻発しており,生産性を大きく低下させていることが明らかとなった. そこで,このブロッキングのメカニズムを明らかにするためのシミュレーションモデルを作成し,曜日や時間帯,また倉庫内のどのような通路でブロッキングが発生しやすいか,またピッキング商品のレイアウトやピッキングすべき商品の組合せがピッキング効率に及ぼす影響などを解析した.この成果は平成23年度に開催される学会にて発表を行う予定である.
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