研究課題/領域番号 |
22510161
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研究機関 | 神奈川大学 |
研究代表者 |
成田 清正 神奈川大学, 経営学部, 准教授 (10211450)
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研究分担者 |
進藤 晋 神奈川大学, 工学部, 教授 (60322533)
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キーワード | 確率ボラティリティ / フラクショナルブラウン運動 / ハースト指数 / 確率微分方程式 / ヨーロピアン・コール / オプション価格 / ブラック・ショールズ方程式 / オルンシュタイン・ウーレンベック過程 |
研究概要 |
ブラックとショールズ(1973年)は、銀行預金のような無リスク資産と株価のようなリスク資産からなる金融市場におけるヨーロピアン・コールオプションの最適な資産配分に係る問題を初めて数学的に定式化し、オプション価格の公式を偏微分方程式の解として導いた。この場合、金融市場のリスクの程度はボラティリティと呼ばれ、経験的な値の定数と設定されている。しかし、ボラティリティを定数ではなくランダムに揺らぐ確率過程(確率ボラティリティ)として設定するほうが、経済の実際を反映していると見なされている。本研究では、金融市場の確率ボラティリティが、統計的な自己相似性と過去履歴の記憶性を表わすハースト指数によって特徴づけられているフラクショナルブラウン運動過程から影響を受ける場合に、オプションの価格付け問題を解いて、次のような成果を得た。 1 急速に平均回帰するオルンシュタイン・ウーレンベック型の確率ボラティリティの場合に長期の取引に有効なオプションの価格関数を決定した。 2 フラクショナルブラウン運動を用いたモデルと古典的なブラック・ショールズモデルとの違いを明らかにし、実務に役立つ効果的な定数ボラティリティを導出した。 3 他大学の研究者を招いて、研究の知見を確認するセミナーと研究の成果を教育へ還元する講演会を5回開催し、研究と教育の双方向的なコラボレーションを高めることができた。 4 研究成果を海外の英文論文1報(73頁)、国内学会の口頭発表8報に纏めることができた。
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