平成22年度は研究課題の初年度であったので、現実に対応した具体的な問題を検討した。具体的には3施設が競合する場合の各施設の最適配置について言及した。現時点では確率的要素は導入していないのであるが、確率計画法の2段階法を発展させた3段階の定式化を行い、競合下での各施設の最適配置に関して解析した。確率計画での定式化を行うと具体的な解法が難しくなるのであるが、このような確率計画法の定式化の導入を行うと確率計画の導入も比較的容易になることが推測される。当初は確率的要素を導入して2段階定式化を行うことにしていたが、2つの施設のみの競合より一般的な3つの施設の競合を考えたのである。2段階定式化がさらに3段階定式化に発展させることができたので、より一般の競合配置を考えるときには重要な発展であろうと思われる。これによって確率計画においても多段階アプローチによる定式化された問題の具体的な解法を導く一歩となることが予測される。この研究成果は台湾の国立成功大学の葉光毅教授および夏皓清氏との共同研究成果でもあり、今後さらに発展させて、応用例として日本と台湾における国民的意識の違いも比較可能になっていくのではないかと思われる。 連携研究者の柴田淳子氏が行った「消費者の購買行動にもとづく選択の意思決定モデルの分析」は、競合施設配置問題については消費者の選択行動が施設の配置計画にも大いに影響するので、積極的に結びつけていかなければならないと思われる。
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