研究課題/領域番号 |
22510169
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研究機関 | 防衛大学校 |
研究代表者 |
宝崎 隆祐 防衛大学校, 電気情報学群, 教授 (20546048)
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研究分担者 |
大山 達雄 政策研究大学院大学, 政策研究科, 教授 (30134323)
諸星 穂積 政策研究大学院大学, 政策研究科, 教授 (10272387)
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キーワード | オペレーションズ・リサーチ / ゲーム理論 / 数理計画法 |
研究概要 |
次の点で意義のある成果をあげるこどができた。 (1)研究成果の概要と部外への公表 次の分野において研究成果をあげ、発表を行った。(1)ネットワーク基盤上での避難、輸送、食料需給に関する問題(論文1編、口頭発表4件):交通ネットワークにおける交通変動予測法の提案やネットワークにおけるフローの損耗モデルと分析法に端緒をつけた。(2)災害対策としての捜索救難に関する問題(論文1編、口頭発表2件):捜索資源の活用法に関する理論研究を進展させた。(3)警備や取締による安全対策と情報の価値に関する問題(論文2編、口頭発表3件):警備問題に対する数理計画的アプローチ法を新規に提案した。(4)震災・環境問題(論文1編、口頭発表1件):実データを用いた現実性と適用性のある分析を行った。(5)救急医療に関する施設配置問題(口頭発表2件) 口頭発表の内の2件は招待講演であり、その分野における先端的研究内容の普及に努めた。また、国際会議での発表も3件あり、海外での研究普及にも寄与した。 (2)学協会での活動 安全対策に関する次のような研究・普及活動を行った。(1)日本オペレーションズ・リサーチ(日本OR)学会の2012年度春季研究発表会を実行副委員長として企画し、「都市のOR」や「災害対策」といったセッションを盛り込んで、災害対策、安全対策に関する専門家の研究成果の発表と意見交換を行った。また、同学会の第67回シンポジウムを実行委員長として計画し、「災害対処の施策とOR」のテーマの下、各界の5名のプロフェッショナルを招聘して、聴衆との間に意見交換の場を提供した。(2)日本OR学会の「防衛と安全」研究部会において4件の講演企画を行い、災害対策や安全対策に関する研究成果の発表と普及活動に寄与した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
インフラストラクチャーの表現形としてのネットワーク上でのモデリングの開発を目的としていたが、以下の様々な成果を得た。(1)ゲーム理論の概念を用い現実的な交通流予測手法を提案でき、PC上に計算アルゴリズムを構築できた。(2)ネットワーク上での消耗モデル(災害、緊急事態等による資源の消耗)の開発に端緒をつけることができた。また、次のような研究者達の意見交換の場を提供し、本テーマを取りまく広範囲な研究分野の手法の発掘を実現できた。(1)日本オペレーションズ・リサーチ(日本OR)学会の春季研究発表会を開催し、その中で実行委員長として「災害対処の施策とOR」のテーマでのシンポジウムを主催した。(2)日本OR学会の「防衛と安全」研究部会を支援し、安全対策に関する講演会を企画した。
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今後の研究の推進方策 |
道路や輸送等安全対策に関連するインフラストラクチャーの表現ツールとして、また多くの人間活動の場として、ネットワーク表現は重要である。今後は、このネットワークにおける資源消耗のモデリング手法の開発を進める。グラフ・ネットワーク理論でもネットワークにおける様々な問題が取り扱われてきたが、消耗モデルに関しては従来研究は少ない。このように、安全対策、災害対処の現実的な問題の解決に直結する新しいモデリング手法の提案とPC上へのツール構築が次の研究方針である。また、この研究分野に携わる研究者、実務者との意見交換は、問題発掘と手法開発には欠かせない。過去に研究代表者として開催した京都大学数理解析研究所の研究集会や実行委員として開催した日本OR学会の活動を下地に、今後は海外の研究者も含めた関係者を一堂に集めて行う会議へと活動を発展させたい。そのためには基盤研究(B)以上の科学技術振興費が必要でもあり、その点が問題となる。
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