研究概要 |
本研究の目的は,爆発や衝突等の偶発作用による鋼構造物の進行性崩壊を防ぐための強靱性を有する鋼構造物の設計法を確立するための基礎データの収集を行うことである。具体的には,柱材の消失による瞬間的な沈下現象を,衝撃的な外力入力に置き換え,衝撃力を受ける場合の鋼骨組の動的挙動に関して実験的および解析的側面から検討するものである。本研究の目的を達成するために,本年度は有限要素法を用いた数値解析を実施し,静的あるいは衝撃荷重下での鋼骨組の挙動を予測するとともに,実験試験体における部材の形状寸法を決定した。また,接合部形式が異なる2種類の鋼門形骨組を各2体,計4体製作し,重錘落下による衝撃載荷実験および油圧ジャッキによる静載荷実験を実施した。接合部形式としては溶接接合およびトップアンドシートアングル接合の2種類とした。静載荷実験では,はり中央の鉛直変位が100mm程度に至るまで荷重を作用させた。一方,衝撃載荷実験では,弾性応答範囲内から終局時近傍に至るまでの検討を行うために,鋼製重錘(質量:500kg)の初期衝突速度を1m/sとし,その後1m/sずつ順次漸増させ,はり中央点における残留変位が100mm程度に至るまで繰り返し実施した。実験結果より,(1)静荷重および衝撃荷重下における骨組の変形挙動や耐荷あるいは応答性状を確認した。(2)重錘衝突時に発生する衝撃力は,接合部形式にかかわらずほぼ同じ値を示すこと,および(3)最大変形および残留変位は入力エネルギーに比例してほぼ線形に増大すること,等を明らかにした。次年度は,エンドプレート接合に関する同様な実験を実施し,3骨組の実験結果について詳細な分析を行うとともに,有限要素法を用いた数値解析を実施し,実験結果との比較により解析手法の妥当性を検討する予定である。
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