本研究の目的は、「消防活動の作業性能と安全性を第一とし、衣服内気候の制御をするようなヒートストレス緩和策をとりいれた消防員装具を開発するとともに、着用者の皮膚温および体温、心拍数等をモニタリングし、リスクを回避するようなヒートストレスアラームを開発することによって消火活動中の消防士への負荷の低減を確認することである。」 本年度は、平成22年度に整備した環境において、水冷服による体温抑制実験を継続して実施し、6名の被実者を対象に運動時体温抑制効果を確認した。これは、換気服などの外気導入型の場合にフィルターを取り付けて煤煙の除去を試みたものの完全な煤煙抑制には至らなかったために、再度、内部循環型である水冷服に視点を当てたためである。 一方でヒートストレスアラームについては、平成22年度作成したヒートストレスアラームにHRセンサーおよび加速度計を組み込んだ試作ヒートストレスアラームver.2を作成し、高温・運動負荷時における被験者の生体データの収集を試みた。さらに、この試作ヒートストレスアラームを東京消防庁にヒアリングにいき、現場レベルで使用が可能か否かの確認をおこなった。これに関しては、コスト面や現場での生体モニターの管理者を配置する状況が難しい点で、即利用は難しいものの5年度や10年後を見据えた場合には必要であるだろうというコメントが得られた。 本研究は、消防員装具に視点を当てた研究であるが、被爆環境における防護服など、密閉型衣服に共通する問題点あるので今後も問題解決に向けた取り組みが重要である。
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