研究概要 |
本研究では、平成22年度から3年間で,緊急事態で効果を発揮する「Live Design(救命設計)」の考え方、及び避難者の複雑な挙動を把握可能な「セルオートマトン(CA)」手法、さらに避難者間の情報交換が可能な「マルチエージェント(MA)」手法を導入して、以下の3事業を行う。まず、(1)市販のパソコンで利用できる「避難シミュレーションシステム」を開発する。次に、(2)開発したシステムを「都市高速道路」、「郊外型大規模ショッピングセンター」、「大規模公園」の大規模集客施設に適用して、各施設の既存の防災対策マニュアルの再構築、避難誘導計画の再設計を行う。さらに、(3)再設計された避難誘導計画に基づいた実践的な防災教育・避難訓練方法を提案する。 初年度は、都市高速道路、郊外型大規模ショッピングセンター、大規模公園を対象として、大規模地震災害発生時における自動車及び人間の避難行動をCA及びMAにより再現するシステムシミュレーションシステムを構築した。各システムの主な特徴を以下に示す。 1.都市高速道路:高速道路上を走行する車両等を"エージェント"、周辺の空間を"環境"としてモデル化し、"車両エージェント"、"災害エージェント"、"管理者エージェント"の3種類のエージェントを設定し、高速道路を"環境"と設定することにより、災害発生時のドライバーの心理状況、管理者の誘導指示等が避難に及ぼす影響や効果を再現可能なシミュレーションシステムを構築した。 2.郊外型大規模ショッピングセンター:空間(壁,障害物,移動可能空間,災害)および避難者(冷静型,追従型,遅延型,パニック型,要救助型の5種類の性格を有する避難者)を2次元CAモデルで再現し、郊外型大規模ショッピングセンターおよび大規模公園においての避難誘導を検討可能とするシミュレーションシステムを構築した。
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