研究概要 |
H24年度は,交差点徐行時と右左折時の車載映像をさらに増やし,これらの映像を用いて歩行者や車等の移動物体を検出し,横断歩道上の歩行者ごとの領域分割を行う手法の有効性及び歩行者の動作認識法の研究を行った.その結果,次の成果を挙げた. (1)交差点において,自車両が徐行(移動)状態か停止状態かを検出し,自車両の運転状況により,移動物体の検出手法の切り替えを行う手法を開発した.交差点の映像データを増やし,本手法の検出精度,処理時間の検証を行った.960フレームの実映像を用いた実験では,移動物体である車と歩行者の検出率はそれぞれ80.9%,76.6%を得た.また,画像入力から移動物体の検出と追跡までの平均処理時間は約114ms/frameであった. (2)自車両の運転状態に応じて,ステレオカメラより得られる距離情報と単一カメラによる背景推定情報を用いて,歩行者を一人ひとり分割する手法を開発した.実環境における車載映像766フレームを用いて,手法の検証を行った.歩行者の抽出形状の正確性(再現率)は78.7%,また歩行者の分離評価においては73.9%という結果を得た.画像入力から歩行者一人ひとりを分割するまでの平均処理時間は268ms/frameであった. (3)マルチクラス識別器であるRandom Forest法を用いた歩行者の動作認識法を開発した.歩行者が歩行,走行,転倒のどれであるかを認識し,危険レベル1~3を定義する.車載映像の模擬映像として屋外環境映像を用いて動作認識の実験を行った.その結果,歩行,走行,転倒の認識率はそれぞれ68.8%,89.1%,80.2%となり,平均処理時間は40.7ms/frameを得た.なお,さらなる最適な危険レベルの定式化を検討中である. 著名な国際会議であるICIP,ACCVまたICCVEで成果を発表した.特にICCVEでは最優秀論文賞を受賞した.
|