H22年度は、粒子法による容器・構造物の変形・破砕現象の数値シミュレーションコードの開発を中心に研究を進めた。粒子法は、連続体を仮想粒子の集合体として表現し、粒子間の相互作用を逐次計算しながらその位置と速度の時間変化を追跡するもので、破壊等、大規模な変形を伴う物体の動的挙動を取り扱うことができる。粒子法はこのような利点を有するものの、多くの計算時間がかかることが予想されるため、大規模な並列計算を前提としたコード開発を実施した。特に近年その性能向上が著しいGPU(Graphic Processing Unit)を用いた並列処理は大幅な高速化が期待されるため、GPU並列計算機およびその上でのプログラム開発環境を新たに整備した。その結果、2次元的な物体の変改・破壊現象を粒子法で模擬することに成功した。 粒子法による物体の変形・破砕シミュレーションコード開発と並行して、流体中での物体の飛散現象を模擬する数値シミュレーションコード(開発済)の一部の改良に着手した。併せて、本コードを用いて衝撃波との衝突による物体の飛散機構の詳細を調べ、床面との間の距離が物体の飛散軌道に大きな影響を与えることを明らかにした。本成果については、国内内で開催された学術講演会(2件)で報告し、そのうち日本機械学会第48期北陸信越支部総会・講演会における講演に対して支部賞(優秀講演賞)が授与された。さらに、H23年度に開催される国際会議においても本研究の成果を発表する予定であり、現在その準備を進めているところである。
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