研究概要 |
H23年度は,容器・構造物の変形・破砕現象の粒子法シミュレーションの並列化および現有の流体解析コードの精度向上を中心に研究を進めた.具体的には,H22年度に整備したGPU(Graphic Processing Unit)並列計算機上で粒子法シミュレーションを行い,並列化の効果を検証した.その結果,粒子数が増加するにつれて並列化による速度増加が顕著に現れることが確かめられた.さらに,現有の流体解析コードで採用していた数値流束計算スキーム(Simple High-resolution Upwind Scheme,SHUS)を近年開発された全速度数値流束スキーム(Simple Low-dissipation AUSM,SLAU)に変更することで,数値散逸を抑えた,より高い精度の計算が可能となった. また,本研究で開発した流体解析コードを用いて得られた,衝撃波による物体の飛散現象のメカニズムに関する知見を国際会議(第11回アジア可視化シンポジウム(2011年6月6日・新潟県),第28回国際衝撃波シンポジウム(平成23年7月21日・英国)で発表するとともに,粒子法シミュレーションに関する成果を日本機械学会北陸信越支部第49期総会・講演会(平成24年3月10日・石川県)で発表し,当該分野における多くの研究者と議論を重ねた.その結果,物体の運動に及ぼす粘性の影響を改めて吟味する必要があることなど,新たな研究指針を得ることができた.
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