研究概要 |
ヒューマンエラーの予防は、安全で安心できる社会構築にとって非常に重要かつ喫緊の課題である。本研究は、認知科学や脳科学分野で中心的なテーマであるアウェアネス(自覚状態)について実証的な研究を行ってきた応募者らが、アウェアネスレベルという新たな概念を提唱し、それをH/Eの予防に有用であると着想したものである。具体的には、(1)ヒューマンエラーの予防に資することができるよう産業現場でも適用可能な測定技法の開発をし、(2)開発した測定技法の産業現場における実践的検証を行うことを目的とした。 平成23年度は,平成22年度の検討によって抽出されたアウェアネスレベルと関連しそうな指標が,実際のエラー誘発課題遂行時にどのような変化を示すかを検討した。すなわち,エラーが発生したタイミングにおけるアウェアネスレベル関連指標を詳細に分析することで,どの指標がエラーの発生と連関しているかを探索することが平成23年度の目的となる。 しかし,震災による機材の不具合によって生理指標の測定が可能になるまでに時間がかかったため,エラー誘発課題遂行時に生理指標を測定する予備実験までは終了したものの,詳細な解析が可能な十分なデータの収集までは終了しなかった。部分的な分析の結果ではいくつかの指標がキーになることが予測できるが,さらにデータを追加した分析が必要であり,平成24年度の検討課題となる。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究の目的は,アウェアネスレベルに関連する生理指標の同定と,エラー誘発課題における実験的確認,さらには,それらの結果に基づいた現場適応であった。まずは,上述のような「やや遅れている」状況について平成24年度上期における回復をはかりたい。他の研究で予定していた海外出張をキャンセルすることで時間は作れるものと考えている。
|