研究概要 |
本研究は、屋上緑化を制震装置とすることにより、耐震補強コストを削減し、既存不適格建物の耐震改修の推進と同時に地球環境問題に貢献する構造システムの提案を行うことを目的とする。本年度の目的は、建物種類(固有周期)別に既存建物への地震力増加を起こさせない屋上庭園の重量、および屋上庭園を支える制震装置の剛性、減衰、耐力を明らかにすることである。そのために、既存建物だけの場合(1質点モデル)と屋上庭園を設置した場合(2質点モデル)で地震応答解析シミュレーションを行った。シミュレーションに用いるパラメータは、既存建物の固有周期、構造特性係数、ひび割れ耐力比,降伏時剛性低下率、屋上庭園部については、既存建物との周期比・剛性比・耐力比、減衰比等であり、多くのシミュレーションを行い、1質点モデルと2質点モデルでの最大応答せん断力を比較し、各建物に対して、屋上庭園を設置することにより地震力が低減する屋上庭園の重量、および屋上庭園を支える制震装置の剛性、減衰、耐力を明らかにした。 具体的成果としては、下記の点を明らかにし、制震装置付き屋上庭園の有効性を示した。 1) 低層建物については、制震装置付き屋上庭園には耐震補強効果はないが、耐震補強しなくても屋上庭園を設置することは可能であり、ヒートアイランド現象等の地球環境問題に貢献することが出来る。 2) 中高層建物については、耐震補強効果と地球環境問題の両方に貢献することが出来る。 この成果の一部は、第33回情報・システム・利用・技術シンポジウムで発表した。本年度の成果は、8月に開催される日本建築学会大会と9月の国際会議(ASEM11)で発表予定である。
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