本研究では1万年前~数千年前の年代を持つ火山岩の年代測定で実績があるCassignol-Gillot Technique(CG法)を,山形大学のK-Ar年代測定システムへ導入する.この手法を火山噴火履歴の解明に利用することで,将来的な火山噴火リスク予測の精度を向上させることを目指す.平成24年度は,1. CG法によるK-Ar年代測定システムの動作確認試験,2. CG法の有効性を確認するための年代測定用試料の地質学・岩石学的研究,を行った. 1. CG法によるK-Ar年代測定システムの動作確認試験:CG法用に作成した分析ラインの動作試験を行い,容積可変用装置(中空型ベローズ)・ガス精製用装置(カートリッジゲッターポンプ2台)・標準ガス(大気)タンク2台等が良好に動作することを確認した.CG法用に作成した分析ラインの実装については,2012年度質量分析学会同位体比部会にて研究発表を行った. 2. CG法の有効性を確認するための年代測定用試料の地質学・岩石学的研究:研究分担者(伴 雅雄教授)が選定したCG法による年代測定に適していると思われる火山岩試料(吾妻山)について,地質学・岩石学的研究を行った.結果について,論文投稿を準備している(Ban et al.).また,年代測定の信頼性を向上させることを目的として,火山岩試料を酸で処理する実験を行った.その結果を2012年度質量分析学会同位体比部会で発表した(井上・岩田).
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