火山災害への効果的な減災対策のために、次世代型とされる確率的予知の観点での火山防災体制のあり方について検討した。このために、わが国の活火山での噴火記録や火山災害実績についてのデータを収集し、わが国での火山災害の傾向と特質についての整理作業をすすめた。さらに、活火山地域を具体的に事例としてとりあげて、噴火イベントツリーと噴火シナリオの検討、噴火災害リスクの評価作業をすすめて、新たな確率的火山防災体制のあり方についての実証的検討を実施した。 (1)わが国の活火山地域での噴火活動と火山災害実績を、公表されている噴火記録、火山災害資料などに加えて、各火山地域の自治体からの公表ハザードマップや関係防災資料の収集から、火山災害データベースを作成して、わが国の過去約2000年間での噴火規模ごとの災害頻度などを集計し、わが国の火山災害の特質を考察した。 (2)代表的な活火山地域として那須岳火山をとりあげて、火山特性、噴火履歴、災害実績、さらに自然環境、社会環境、防災体制などをGISによって統合化し、地域基礎情報データとした。その結果から噴火イベントツリーと噴火シナリオなどを検討し、火山災害リスク評価や火山リスクマップを作成した。 (3)これらの結果を、火山防災シンポジウム、国内外学会などで発表し、火山研究者や防災関係者との議論をすすめた。また、これらの成果は青灰那須岳火山防災委員会での報告書による自治体関係者、関係防災担当者、地域住民などのとの意見交換、さらに防災科研(NIED)でのハザードマップHP公表とそのアップデート作業で活用した。
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