研究概要 |
わが国での噴火活動の時空的傾向,規模の頻度,災害の規模・要因などを明らかにするため,110活火山の噴火活動と被災記録のデータベースを作成した。わが国の過去約2000年間での記録に残った噴火数(一連の活動は1回と扱う)は約1,200回で,気象庁の監視・観測体制の必要な47火山の噴火数がこの87%を占めた。噴火規模をVEIで見積もって集計した結果,記録に残った噴火数としてはVEI3が最も多く,噴火頻度はVEI5が約200年,VEI4が約50年,VEI3が約18年,VEI2が約4年に一回程度と見積もられた。火山災害犠牲者総数(二次災害は除く)は約2万人であった。災害要因の頻度は,降下火砕物(含む噴石),土石流,火砕流の順であった。犠牲者総数では火山性津波が最大であったが,その発生頻度は著しく低い。降下火砕物と火砕流は規模と犠牲者数とには対応がみられた。 これらの噴火活動と災害実績の定量的データを基礎資料として,地域防災計画火山編,火山防災(ハザード)マップ・ハンドブックなど防災情報,さらに地域の自然環境や社会環境についてGIS化することで火山防災基礎情報システムを整備することが活火山地域の今後の防災体制構築に有効となる。この検証のため,具体的な活火山地域(那須,吾妻,磐梯など)を対象事例として,GISを活用した火山防災基礎情報システムを構築し,火山災害リスク評価を実施し,確率的な防災対応(噴火イベントツリー・シナリオ作成など)の観点を導入した実践的な防災体制の検討を地域火山防災関連委員会などで実践した。これらの成果は,関係学会や防災シンポジウムで発表と資料提供,さらにデータベースはHP(防災科研など)で開示した。
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