研究課題/領域番号 |
22510189
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
川口 寿裕 関西大学, 社会安全学部, 准教授 (80234045)
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キーワード | 土石流 / 固液混相流 / 自由界面 / 数値解析 / 離散要素法(DEM) / MPS法 |
研究概要 |
本研究は土石流の挙動を模擬し、危険区域を予測するモデルの開発の基礎となるものである。土石流のような自由界面を含む固液混相流の流動解析を行うため、固体粒子運動を離散要素法(DEM: Discrete Element Method)、液体運動をMPS(Moving Particle Semi-implicit)法で計算する、DEM-MPS手法による数値計算コードの開発を試みた。平成22年度に開発した計算コードにおいては、保存性に問題があることが分かった。具体的には、粒子体積率の変化が保存則に反映されないモデルとなっていた。つまり、系内の粒子体積率が保存される場合には大きな問題は生じないが、系外から粒子が入ってくる場合や、逆に系外に粒子が出ていくときには保存性が満たされない。そこで、この問題を解決すべく、粒子体積率の変化を反映させるモデルを開発し、保存性を検証した。その結果、粒子の出入りがある場合に対しても、保存性が維持されることが確認された。実験においては、個々の粒子を追跡し、PTV計測するシステムの構築を目指した。粒子の輝度分布から個々の固体粒子を判別・抽出した。表面に見えているほぼ全ての粒子を抽出できることが確認された。また、最近法による粒子追跡を行ったところ、対象粒子が他の粒子の裏側に入り込まない限り、十分な精度でその軌跡を追跡できることが確認された。今後は計算結果と実験結果とでより詳細な定量的比較を行うとともに、さらなる計算コードの改良を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計算コードを改良し、計算結果と比較するための実験で用いるPTV計測システムもほぼ完成した。おおむね計画通りに進展している。
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今後の研究の推進方策 |
平成22年度に開発したDEM・MPS計算コードについて、保存性に問題があることが確認された。平成23年度はこの問題点を改良するためのモデル開発および計算コード開発を行った。今後は空隙率の計算方法をより一般化されたものとなるように変更する予定である。これらのモデルおよび計算コード改良の妥当性について検証するため、PTV計測システムを用いた粒子挙動解析を行う。
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