研究概要 |
西南日本内帯に分布する潜在断層を対象として,以下の調査・研究・解析を実施した. (1)文献調査によって,断層プロセスゾーンの幅と断層長さに関するデータを集約し,両者の関係の一般式を導き出した.さらに,根尾谷断層と木戸山西方断層の現地調査を行い,得られた一般式の妥当性を検証した. (2)低活動度の活断層として中国地方西部の大原湖断層系を構成する活断層を対象として,断層プロセスゾーンの微細組織特性を明らかにするとともに,高活動度の断層として,中部地方の根尾谷断層と阿寺断層を対象として,微細組織解析を実施した. (3)既刊の20万分の1および5万分の1地質図から,それぞれ地質断層と活断層を抽出して,『日本の断層マップ』を作成した.さらに,地質断層と活断層が一致する断層から代表的なものを選択して,現地調査を実施した. (4)公開されている大地震の震源メカニズム解,長期間の地震活動データ,GPS測地データを総合して,西南日本の現在の広域応力場を解析した. (5)断層データと造構環境および(2)で得られた微細組織のデータを組み合わせ,潜在断層の認定方法を確立した. (6)小断層,節理および複合面構造やマイクロクラックなどのデータを使って,局所応力場の解析方法を再検討した.さらに,微細組織の形成の新旧関係から,古応力場の変遷に関する基礎資料を取得した. (7)有限要素法による断層運動シミュレーション法を改良し,2005年福岡県西方沖の地震と2000年鳥取県西部地震を対象として,断層プロセスゾーンを含む断層周辺の変位,速度,加速度,震度分布を再現した.
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