研究課題/領域番号 |
22510191
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
金折 裕司 山口大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (60194883)
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研究分担者 |
今岡 照喜 山口大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (30193668)
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キーワード | 断層プロセスゾーン / 活断層 / 地震災害 / 西南日本 |
研究概要 |
西南日本内帯で最大級の活断層系である大原湖-弥畝山断層系および1927年北丹後地震に関して、以下の調査、研究、シミュレーションを実施した。 (1)上記活断層系の南部を構成する宇部東部断層を対象として現地調査を行い、発見した断層露頭を詳細に記載するとともに、中位段丘面との関係から最新活動時期と平均変位速度を求めた。さらに、北東部を構成する美都断層と弥畝山西断層の性状と分布から断層間のテクトニクスを議論した。 (2)現地調査の結果から得られた断層の性状とプロセスゾーンの幅を入力して、上記活断層系と岩国断層帯の2D断層運動シミュレーションを行い、加速度波形と震度分布を予測した。大原湖-弥畝山西断層系北東部でのシミュレーション結果は、現地調査の結果とよく整合し、非活動部とセグメンテーションがうまく再現できた。 (3)1927年北丹後地震のときに地表に現れた郷村断層と山田断層を対象として現地調査を行うとともに、断層露頭でのプロセスゾーンの幅などの基礎資料を得た。これらのデータを入力して実施した2D断層運動シミュレーションでは、北丹後地震の震度分布をうまく再現することができ、この手法の妥当性が検証できた。北丹後地震での山田断層の非破壊部を震源として、同様なシミュレーションを行い、この地域の震動分布を評価した。 (4)以上のデータを総合して、断層長とプロセスゾーンの幅、地震被害とプロセスゾーンの分布との関係、断層のセグメンテーションとプロセスゾーンの位置関係、および2D断層運動シミュレーションの結果をテクトニクスの視点から評価した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1927年北丹後地震のときに地表に現れた郷村断層と山田断層の断層露頭を数多く確認することができ、郷村断層を震源として2D断層運動シミュレーションを行い、北丹後地震の震度分布をうまく再現することができるとともに、山田断層の非活動部を破壊源として、今後の地震被害想定が実施できた。
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今後の研究の推進方策 |
(1)山口県中南部から島根県南西部にかけて分布する大原湖-弥畝山西断層系全域にわたる地質調査によって長大断層系に伴われるプロセスゾーンの全容を解明する。 (2)現地調査のデータを入力して、2D断層運動シミュレーションを行うとともに、シュミレーション手法の改良を目指す。
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