研究課題/領域番号 |
22510196
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
能島 暢呂 岐阜大学, 工学部, 教授 (20222200)
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研究分担者 |
杉戸 真太 岐阜大学, 流域圏科学研究センター, 教授 (60115863)
久世 益充 岐阜大学, 流域圏科学研究センター, 助教 (30397319)
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キーワード | 地震 / 震度 / リスク評価 / 曝露人口 / 被害推定 |
研究概要 |
本研究は,地震の社会へのインパクトを「震度曝露人口」により定量化し,突発地震の即時的な被害予測や全国の想定地震による地震リスク評価を行うシステムの構築を目的とするものである.本年度の成果を要約する. (1) 前年度に整備したデータベースをさらに拡充し,突発的な地震に関して動作する「直後対応モード」について検討を行った.具体的には,産業技術総合研究所の地震動マップ即時推定システム(QuiQuake)により即時公開される地震直後の広域震度分布データを早期に組み込み,人口分布とマッチングして,震度曝露人口を推計するシステムのプロトタイプを構築した. (2) 上記プロトタイプの検証のため,既往地震を対象として震度曝露人口の実施することによって,その即時的推計過程を事後的に模擬した.その際に,推定震度の不確定性を考慮しなければ,高震度領域における曝露人口を過小評価する危険性があることに注意して,適正な評価手法を提案した.さらに,2004年新潟県中越地震,2007年新潟県中越沖地震,2011年東北地方太平洋沖地震などの主要被害地震を対象として震度曝露人口の推計を行い,結果をアーカイブ化した. (3) 即時的被害推定システムの構築に向けて,兵庫県南部地震の被災事例に基づいて構築された「供給系ライフライン被害・復旧予測モデル」に改良を施し,震度曝露人口の推計結果との結合を図った.東日本大震災を対象事例として,停電・断水・都市ガス停止の被災人口およびその復旧プロセスの事後予測を行い,実被害データとの比較から,良好な推定結果が得られることを確認した. なお,「地震リスク評価システム」の検討については,政府による「確率論的地震動予測地図」の公開を待って,次年度に実施することとした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度~本年度にかけて,震度曝露人口の推計スキームについては,ほぼ整えることができた.一点だけ,地震調査研究推進本部による「確率論的地震動予測地図」に関するデータを用いて「地震リスク評価システム」を検討する予定であったが,2011年度版の公開が見送られた.このことから米国の最新モデルとの比較・検証を含めて,次年度に持ち越すこととした.
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今後の研究の推進方策 |
本研究では,あらゆる地震の発生可能性を網羅して作成されている「確率論的地震動予測地図」の基礎データを網羅的に適用して,わが国全体を対象とした「地震リスク評価システム」を構築することを目標の一つとしている.東日本大震災の発生を受けて2011年度版の公開は見送られたが,地震の長期評価手法および強震動評価手法が体系的に見直されつつあり,新たな知見を取り入れた,より信頼性の高い地震ハザード評価が行われることが期待される.その成果については,次年度の「地震リスク評価システム」の構築に向けて,先進的に取り入れてゆく方針である.
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