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2011 年度 実績報告書

大規模表層雪崩に対する森林の減勢効果の研究

研究課題

研究課題/領域番号 22510199
研究機関独立行政法人森林総合研究所

研究代表者

竹内 由香里  独立行政法人森林総合研究所, 十日町試験地, 主任研究員 (90353755)

研究分担者 西村 浩一  名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (10180639)
鳥田 宏行  地方独立行政法人北海道立総合研究機構, 森林研究本部, 研究主幹 (50414264)
平島 寛行  独立行政法人防災科学研究所, 雪氷防災研究センター, 任期付研究員 (00425513)
キーワード雪氷災害 / 雪崩 / 森林
研究概要

妙高山域の幕ノ沢で2008年に発生した雪崩が林内で減速,停止したことに対するスギ林の効果を調べるために,幕ノ沢を対象とした運動モデル(TITAN2D)を用いて雪崩の流下を再現し,底面摩擦角を変えてスギ林の有無による雪崩の速度や到達距離の比較を行なった。運動モデルを用いた試行錯誤の結果,この雪崩の底面摩擦角は13~14°,雪崩が流入したスギ林の抵抗は底面摩擦角25°に相当することがわかった。数値モデルの実験により,もしスギ林が無く,雪崩が底面摩擦角13~14°のままで流下したとすると,スギ林内を流下した実際の到達点より約200mも遠くまで達した可能性が示された。これは,雪崩に対するスギ林の減勢効果を定量的に表わした点で大きな意義がある。幕ノ沢の他にも森林が倒壊した雪崩のデータを収集し,運動モデルの検証データとするため,岩手山西側斜面において発生した大規模な雪崩跡の詳細な調査をするための予備調査を行ない,樹木が倒れた範囲や雪崩の到達点を調べた。
また,雪崩により樹木が折れる場合の力を推定するために、幕ノ沢のスギのヤング係数を非破壊試験により求めた1サンプル数10本の平均で,ヤング係数は5.0GPaであり,これを元に算出した曲げ強さは35MPaとなった。現地のスギの計測結果により,数少ない文献に基づいてスギ立木の曲げ強さを30±5MPaとして推定してきた雪崩の速度が,概ね妥当であることが確認できた。
幕ノ沢の雪崩発生区は,標高1700mで急峻な上に多雪のため現地観測が困難である。そこで積雪変質モデルSNOWPACKにより気象データから発生区の積雪を推定して,過去に発生した雪崩の滑り面の雪質や形成過程を調べ,幕ノ沢で雪崩が発生したときの気象や積雪の特徴を明らかにした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

当初は,妙高山域の幕ノ沢のみを対象にする計画であったが,新たに岩手山西側斜面においても広範囲にわたって樹木が倒壊する大規模な雪崩が発生したことがわかり,幕ノ沢で得た結果を岩手山で検証することが可能となったため。

今後の研究の推進方策

妙高山域の幕ノ沢を対象とした雪崩の運動モデルにより,雪崩に対する森林の減勢効果を表わすことができたので,今後は,この結果を岩手山に適用して,運動モデルによるシミュレーションにより実際の雪崩の到達距離を再現できるかを確かめる予定である。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2011

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Study of a large-scale dry slab avalanche and the extent of damage to a cedar forest in the Makunosawa valley in Myoko, Japan2011

    • 著者名/発表者名
      Yukari TAKEUCHI 、Hiroyuki TORITA 、 Koichi NISHIMURA、 Hiroyuki HIRASHIMA
    • 雑誌名

      Annals of Glaciology

      巻: 52(58) ページ: 119-128

    • URL

      http://dx.doi.org/10.3189/172756411797252059

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 妙高・幕ノ沢における大規模雪崩発生区の積雪の推定2011

    • 著者名/発表者名
      竹内由香里、平島寛行
    • 雑誌名

      寒地技術論文・報告集

      巻: 27 ページ: 50-54

  • [雑誌論文] 雪崩に襲われた樹木の力学に関する研究2011

    • 著者名/発表者名
      納口恭明、竹内由香里
    • 雑誌名

      寒地技術論文・報告集

      巻: 27 ページ: 226-229

  • [雑誌論文] スラブ(雪崩層)の強度を考慮した積雪安定度の検討2011

    • 著者名/発表者名
      池田慎二、竹内由香里、野呂智之
    • 雑誌名

      寒地技術論文・報告集

      巻: 27 ページ: 46-49

  • [学会発表] 妙高・幕ノ沢における大規模雪崩発生区の積雪の推定2011

    • 著者名/発表者名
      竹内由香里, 平島寛行
    • 学会等名
      雪氷研究大会(2011・長岡)
    • 発表場所
      ハイブ長岡(長岡市)
    • 年月日
      2011-09-21
  • [学会発表] 雪崩と樹木の力学2011

    • 著者名/発表者名
      納口恭明, 竹内由香里
    • 学会等名
      雪氷研究大会(2011・長岡)
    • 発表場所
      ハイブ長岡(長岡市)
    • 年月日
      2011-09-21
  • [学会発表] スラブ(雪崩層)の強度を考慮した積雪安定度の検討2011

    • 著者名/発表者名
      池田慎二, 竹内由香里, 野呂智之
    • 学会等名
      雪氷研究大会(2011・長岡)
    • 発表場所
      ハイブ長岡(長岡市)
    • 年月日
      2011-09-21

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公開日: 2013-06-26  

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