本研究では、複数種の酵母について異なる培養条件でのタンパク質発現量を比較し、種間におけるプロテオームの多様性を解析した。S.cerevisiaeを含めSaccharomycetaceae科に属する8種の酵母のグルコース培地での増殖速度は1~1.5倍程度しか違いがなかったのに対し、グリセロール培地および酢酸培地では、S.cerevisiaeおよび同属の3種の酵母のほうが属の異なる4種の酵母より増殖速度が2~3倍遅かった。グリセロールを炭素源としとき、S.cerevisiaeならびに同属の酵母1種(S.mikatae)に対し、属の異なる酵母(K.waltii)において、主にミトコンドリアタンパク質や酸化ストレス応答因子などの発現量に違いがあった。これら一群のタンパク質が種間での増殖速度の差異に関わっていることが示唆され、現在それらの増殖速度への影響を解析している。
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