研究課題/領域番号 |
22510210
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研究機関 | 株式会社吉田生物研究所(バイオ情報研究部門) |
研究代表者 |
和田 明 株式会社吉田生物研究所(バイオ情報研究部門), 部門長 (80025387)
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研究分担者 |
上田 雅美 株式会社吉田生物研究所(バイオ情報研究部門), 研究員 (30512511)
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キーワード | 翻訳 / RFHR法 / プロテオミクス / リボソーム / 原核生物 |
研究概要 |
1.この研究の基盤となるRFHR 2D PAGEの改良は前年度でほぼ終了したが、今年度も継続して取り組まれ、酸性領域だけでなく、塩基性領域においても0次元泳動を省略して1次元ゲルに直接濃縮導入するシステムが作成された。これによって塩基性から酸性にまたがる標準法の全画面と、酸性と塩基性を個別に全画面に展開する方式とを組み合わせることによって、全蛋白質を包含し、なおかつ高分離能をもったRFHR法が完成した。 2.翻訳系プロテオミクスは、今年度も引き続き100Sリボソーム形成のメカニズムに焦点が当てられた。従来大腸菌で取り組んできた70S二量体は、実は大腸菌を含むγグループに特異的な100Sであり、それ以外の圧倒的に多数のバクテリアにおいてはそれとは異なる100Sが存在することがあきらかになった。この場合100S形成因子は大腸菌のようなRMFではなく、long HPFであるというだけでなく、二個の70Sの結合方式そのものがγグループの場合と全く異なっていることが判った。これを進化的に見れば、まずこのlong HPFによる100S形成が既にバクテリア全体に成立していて、その後βとγグループの共通祖先の出現に伴ってlong HPFがshort HPFに短縮、弱体化し、γグループがβグループと分岐して以後、long HPFに代わってRMFによる100S形成が新たに出現したと考えられる。このように100S形成は真正細菌にとって極めて普遍的な現象であるだけでなく、二種類の100Sが存在することが明らかになってきた(現在、論文二編作成中)。 3.研究の経過が100S問題に集中したので、RFHR法の包括的適用があとまわしになったことは否めない。100S研究は今後も極めて重要な課題であるが、最終年度は大腸菌、乳酸菌およびThermus thermophilusの翻訳系のRFHR法によるプロテオミクスにも取り組みたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
100S形成は21年前に私が発見して以来、専らわれわれによって研究されてきたが、とくにここ数年で極低温電顕の適用によって急展開し、100Sの存在は揺るぎないものになった。その分、本研究におけるわれわれの翻訳系研究が100Sに偏った嫌いがある。次年度は包括的な取り組みを強化する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
上記したようにRFHR法の包括的な取り組みを強化する必要がある。具体的には最終年度は大腸菌、乳酸菌およびThermus thermophilusの翻訳系にしぼってRFHR法によるプロテオミクスにも取り組みたい。
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