研究課題/領域番号 |
22510214
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
岩崎 直子 東京女子医科大学, 医学部, 准教授 (70203370)
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研究分担者 |
中西 敏雄 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (90120013)
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キーワード | RCNJ15 / LSS / 2型糖尿病 / ゲノム / SNP / MODY / 単一遺伝 / ミトコンドリア内膜pH |
研究概要 |
我々は2型糖尿病の罹患同胞対法を用いた全ゲノム連鎖解析によって21番染色体上に2種類の統計学的に有意な遺伝子(KCNJ15とLSS)を見出したので、さらにその遺伝子機能の解析を行った。 1)KCNJ15がヒトβ細胞で発現すること、リスクアレルがKCNJ15タンパクの発現を調節し、日本人では2型糖尿病リスクを1.76倍上昇させ、肥満を有さない群ではリスクが2.5倍になること、デンマーク人では関与が低いことなどを報告済みである(Am J Hum Genet 86:54-64,2010)。今年度は、さらに糖尿病モデルマウスであるAkita miceにsiRNAを用いてKcnj15遺伝子をノックアウトした結果、インスリン分泌の回復とそれに伴い血糖値が低下する事を確認できた。また、Kcnj15の作用はCsR(calcium sensing receptor)を介する事を明らかにした(Diabetes,in press)。一方、KCNJ15チャネルの機能が明らかにされていないため、KCNJ15チャネルのカレントの測定を試みた。KCNJ11遺伝子、KCNJ15遺伝子(正常アレルと変異アレル)をβ細胞由来INS-1細胞に導入しカレント測定を実施する予定であったが、実際のカレント測定にはKcnj15以外のチャネルの共発現が必要で、その候補は多数あり、発現の割合も多様であることから、実際のパッチクランプ法によるカレント測定は完了できなかった。 2)LSSについては、日本人に加えて韓国、デンマーク、英国においても糖尿病発症リスクの再現性を検証することができ、人種を超えて2型糖尿病感受性遺伝子として作用することを確認した。さらにコレステロール代謝やインスリン抵抗性と関連することを認めており、現在JCIに投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
KCNJ15カレント測定に関する報告が極めて少なく、先に基礎的な実験が必要であることが判ったため、検討を完了できなかった。KCNJ15と共発現するチャネルについて、様々な割合で共発現させ、KCNJ15チャネルの野生型のカレントの想定法の確立が第1段階である。
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今後の研究の推進方策 |
上述の研究は本学の学内連携で実施可能であるので、当初の目的を遂行する予定である。
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