研究課題
前年度までの研究成果から、将来の表皮となる「表皮外胚葉」で優位に発現し、さらに過剰発現では表皮優位な状態を作り出すことが出来る「表皮マスター因子」の同定に成功している。今年度では、その因子を制御する上流で働くシグナリングについて解析を行った。まず、表皮で優位に発現する幾つかの分泌性因子をマイクロアレイによって網羅的に検討した結果、幾つかのカノニカルWnt経路関連因子がより効果的に発現上昇が見られることがわかった。そこでカノニカルWnt経路と、既に同定している表皮マスター因子との関係を検討するために、カノニカルWnt経路の最下流で働く転写因子beta-catenin欠損マウスと表皮マスター因子欠損マウスとの交配によるダブル変異マウスの表現系解析を行った。結果、beta-catenin遺伝子ヘテロ変異かつ表皮マスター因子ホモ胚では、単なるホモ変異より、表皮での重篤な異常が見られた。さらにそれぞれのシングルヘテロ変異マウスは正常に発生するのに対し、ダブルヘテロ変異マウスでは神経管閉鎖不全がある頻度発症することがわかった。これらの結果から、本申請課題で同定された遺伝子は、カノニカルWnt経路によって制御されていることが強く示唆された。一方、マウスの発生過程において、Wnt経路が表皮外胚葉の分化・運命決定に関わっているといった知見はこれまで無い。そこで、beta-catenin コンディショナルアレルに、表皮特異的なCREタンパクを発現するマウスとを交配させ、表皮特異的にカノニカルWnt経路を欠損させたマウスの解析を試みた。結果、表皮のみでbeta-cateninを欠損させたマウスでは、表皮と神経の運命決定に異常が見られ、神経管閉鎖不全となることがわかった。このことは、カノニカルWnt経路がマウス初期に決定される表皮外胚葉の運命決定に重要な機能を持つことを意味している。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Current opinion in genetics & development.
巻: 24 ページ: 未定
10.1016/j.gde
Biochemical and biophysical research communications.
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10.1016/j.bbrc.
細胞工学
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http://www.med.osaka-u.ac.jp/pub/inst-mch/Byo/Byo.html