研究概要 |
薬剤耐性ウィルス出現の可能性が低く,既存AIDS治療薬耐性HIVにも治療効果が期待される治療薬創製を目的に,シラカバ樹皮成分を医薬品素材とした天然物起源の抗HIV薬の創製を目指し,以下の検討を行った。 1.薬剤耐性HIVウィルスに対して効果を示すことを期待して異なるメカニズムを有する分子が縮合した化合物として,betulin誘導体と逆転写酵素阻害剤とのハイブリッド構造を有する誘導体をデザインした。過去の研究において,良好な抗HIV活性を示した3-O-acylbetulin誘導体の28位にエステルを導入し,これをスペーサーとして抗HIV核酸誘導体を縮合させたbetulin誘導体及びdihydrobetulinを14種合成した。これらの誘導体について抗HIV活性を検討した。5種が化合物に現在米国でAIDS治療薬として臨床試験中のbevirimatよりも強い抗HIV活性を示した。これらの化合物は,bevirimatと同様の成熟阻害剤として作用しているが逆転写酵素阻害作用を示さないことが判明した。 2.Betulinic acidの28位にL-leucineを縮合させた化合物はHIV fusion阻害作用を示すbetulinic acid誘導体の最も単純な分子であったことから,3-O-acylbetulin誘導体の28位とbetulinoyl-L-leucineをエステルを介して縮合した化合物をデザインし,反応条件の検討を行った。
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