研究概要 |
薬剤耐性ウィルス出現の可能性が低く,既存AIDS治療薬耐性HIVにも治療効果が期待される治療薬創製を目的に,シラカバ樹皮成分を医薬品素材とした天然物起源の抗HIV薬の創製を目指し,以下の検討を行った。 1.前年度に合成条件を検討したHIV fusion阻害作用を示す3',3'-dimethylsuccinyl betulinoyl-L-leucineのleucine部分に3-O-acylbetulin誘導体の28位をエステル結合で縮合した化合物10種を合成した。得られた化合物についての抗HIV活性を評価したところ,2種の化合物に中程度の抗HIV活性が認められたものの,その他の化合物では活性が消失する結果となり,betulinoyl-L-leucineの遊離カルボン酸の修飾は活性を減弱させるということが判明した。 前年度に検討したbetulin誘導体と逆転写酵素阻害剤とのハイブリッド構造を有する誘導体では逆転写酵素阻害分子の遊離が起こりにくいと考えられたことから,その遊離が起こりやすいリンカーを介した縮合分子をデザインし,その合成条件の検討を実施した。逆転写酵素阻害分子の遊離が起こり易いことを期待した分子デザインであることから,反応中に目的化合物からの逆転写酵素阻害分子の脱離が容易に起こる点で目的の化合物を得る条件検討をさらに継続中である。
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