研究概要 |
薬剤耐性ウィルス出現の可能性が低く,既存AIDS治療薬耐性HIVにも治療効果が期待される治療薬創製を目的に,シラカバ樹皮成分を医薬品素材とした天然物起源の抗HIV薬の創製を目指し,以下の検討を行った。 過年度に合成したbetulin誘導体と逆転写酵素阻害剤とのハイブリッド構造を有する誘導体類では抗HIV活性を示したが,逆転写酵素阻害分子の遊離が期待通りに起っていないと考えられたことから,逆転写阻害分子が遊離されることを期待してglycineを含むリンカーを介した縮合分子をデザインし,その合成を検討した。 各ステップにおける反応条件の検討がさらに必要であるが,目的とする化合物のうち,3-O-(3',3'-dimethylsuccinyl)-betulinの誘導体の合成が達成できた。Acyl基の構造を変化させた関連誘導体類及びdihydrobetulinを基本構造とする誘導体類が合成可能であることから,それらの検討を継続中であり,誘導体類の抗HIV活性試験を実施する予定である。
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