研究概要 |
本年度は、藍色細菌 Synechococcus sp. PCC 7942 由来の SmtB のアミド末端領域のCys14 に変位を導入したSmtBならびに、アミド末端を異なる長さ欠失させた変異 SmtB を作製し、smtA のコード領域に対するオペレータ/プロモータ領域への結合親和性並びに、亜鉛イオンによる結合活性阻害をゲルシフト電気泳動法により解析した。その結果、亜鉛イオンによる結合活性阻害効果には、Cys14の存在が重要であり、Cys14よりアミド末端側のアミノ酸残基の長さは、殆ど影響が無いことがわかった。このことから、、Synechocystis sp. PCC 7002 由来の SmtB との重金属による認識 DNA 結合活性阻害効果の差異は、7942由来の SmtB の Cys14 に相当する部位のアミノ酸が 7002 由来の SmtB では欠損していることに起因することがわかった。さらに、Cys61,His97 に相当するアミノ酸もそれぞれ R,N に置換されており、 SmtB 二量体分子の両サイドに存在する重金属イオン結合サイトへの重金属結合親和性は 7942 由来の SmtB に比べ、7002 由来の SmtB では著しく低いと考えられる。一方、二量体を構成する分子間の重金属結合部位を構成するアミノ酸は完全に保存されており、これは、7002が7942より高い濃度で重金属ストレス応答を示すための構造要因であると考えられる。 現在、二量体の両サイドに存在する重金属結合部位のリガンドとして機能するアミノ酸に変異を導入したSmtBをコードする遺伝子断片を挿入したプラスミドを用い手、 7942 や 7002 の形質転換を行い、導入した遺伝子によりsmtB遺伝子が完全に置き換えられた形質転換体の選別を行っており、今後これら形質転換体の重金属ストレス耐性の評価を行う。
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