研究概要 |
ラメラリンα20-サルフェートは、IC_<50>=22μMにてHIV-1インテグラーゼ阻害活性を示すとともに、実際のHIV-1ウィルスに対してもIC_<50>=8μMで感染抑制活性を示し、なおかつ低毒性(HeLa細胞に対する細胞毒性LD_<50>274μM)であることが報告されている。従ってラメラリンα20-サルフェートは、HIV-1インテグラーゼ阻害剤のリードとして期待される。一方申請者らは、新規に合成したラメラリンαサルフェート類が抗HIV活性を有し、なおかつその作用機序がHIV-1侵入阻害活性である可能性を見出した。 今年度、まずラメラリン類縁体として、ラメラリンα、ラメラリンα20-サルフェート、ラメラリンα13-サルフェート、ラメラリンα13,20-ジサルフェートを合成し、HIV-1ベクターによる感染抑制評価を行った。その結果、スルホオキシ基(-OSO_3Na)を持つ誘導体のみに感染抑制効果が見られた。またCD4を発現したHeLa細胞に対して上記のラメラリン誘導体を処理し、 confocal microscopyにより測定をおこなたところ、スルホオキシ基を持たないラメラリンαは細胞内に取り込まれるのに対し、スルホオキシ基を持つラメラリンα20-サルフェート、13-サルフェート、13,20-ジサルフェートは細胞内に取り込まれないことが判明した。 従って、ラメラリンα20-サルフェートの抗HIV-1阻害の作用機序が従来提唱されていたHIV-1インテグラーゼ阻害ではなく、HIV-1侵入阻害であるという可能性が高まった。
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