研究課題/領域番号 |
22510235
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
福田 勉 長崎大学, 大学院・工学研究科, 助教 (80295097)
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研究分担者 |
久保 嘉直 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (30273527)
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キーワード | ラメラリンサルフェート / 坑HIV剤 / 構造活性相関 / 侵入阻害 |
研究概要 |
ラメラリンα20-サルフェートは、IC_<50>=22μMにてHIV-1インテグラーゼ阻害活性を示すとともに、実際のHIV-1ウィルスに対してもIC_<50>=8μMで感染抑制活性を示し、なおかつ低毒性(HeLa細胞に対する細胞毒性LD_<50>274μM)であることが報告されている。従ってラメラリンα20-サルフェートは、HIV-1インテグラーゼ阻害剤のリードとして期待される。一方申請者らは、新規に合成したラメラリンαサルフェート類が抗HIV活性を有し、なおかつその作用機序がHIV-1侵入阻害活性である可能性を見出した。 昨年度までの研究で、ラメラリンα20-サルフェートの抗HIV-1阻害の作用機序が従来提唱されていたHIV-1インテグラーゼ阻害ではなく、HIV-1侵入阻害であるという可能性が高まった。 そこで今年度は、ラメラリンサルフェート類縁体のHIV-1侵入阻害に主眼を置いた研究を実施した。まず7種のラメラリン類縁体に対し、抗HIV-1活性評価を実施したところ、抗HIV-1活性発現にはラメラリンの五環性骨格ならびにラメラリン骨格上のスルホオキシ基(-OSO_3Na)の存在が重要であるということ、スルホオキシ基の数およびラメラリン骨格のC5-C6炭素間の結合次数(単結合か二重結合か)は重要でないということが明らかとなった。またCD4を発現したHeLa細胞にラメラリンサルフェートを作用させても細胞内にラメラリンサルフェートが取り込まれないこと、さらにHIV-1 Env-mediated cell-cell fusionアッセイからラメラリンの抗HIV活性の作用機序は、従来提唱されていたインテグラーゼ阻害活性ではなく侵入阻害であることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに抗HIV活性におけるラメラリン類の実際の作用機序および活性発現に必要なラメラリンの分子構造を明らかに出来ているため。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの結果を踏まえ、今後さらに高活性な誘導体の創製のため、ラメラリンと類似の分子形状を持つ誘導体の合成、活性評価を行うとともに、それらの結果を元に新たな誘導体の設計を行う。
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