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2011 年度 実績報告書

共生微生物に由来する植物代謝遺伝子誘導因子の同定とその役割の解明

研究課題

研究課題/領域番号 22510238
研究機関日本大学

研究代表者

青木 俊夫  日本大学, 生物資源科学部, 准教授 (80287606)

キーワード根粒菌 / フラボノール / エリシター / 化学シグナル / 共生
研究概要

植物に広く分布するフラボノイドの一種フラボノールは,マメ科植物と根粒菌との共生過程において重要な役割を果たすことが示唆されているもののその役割や生合成調節機構について明確な知見が乏しい.本研究では,その生合成に関わるフラボノール合成酵素(FLS)遺伝子の発現を誘導する根粒菌由来の未知因子を同定し,その誘導因子をつくらない根粒菌変異株の共生能力を調べることで,フラボノールなど誘導性植物成分の共生窒素固定における役割を明らかにする.
平成23年度では,前年度に引き続きFLS遺伝子の誘導因子を同定するための生物検定法の確立を試みた.当初計画では,FLS1遺伝子のプロモーターの下流にレポーター遺伝子としてβ-グルクロニダーゼGUS遺伝子を連結したベクターを用いて,増殖が容易な毛状根培養系を用いる予定であった.しかし,FLS遺伝子の発現には地上部(茎葉)の存在が必須であることが22年度の知見から明らかとなった.そこで,同ベクターを導入したAgrobacterium tumefaciens EHA101株を胚軸感染法によりミヤコグサ用植物の胚軸に接種し,これを再分化させて形質転換ミヤコグサを作製した.このプロモーター活性検定用植物に対して根粒菌を接種し,X-glucを用いて組織化学的にGUS活性を調べたところ,シグナルは成熟根粒の周囲で観察されたが,感染初期には観察されなかった.すなわち,根粒菌由来の誘導活性物質の検定には,根の抽出物を調製して蛍光基質と反応させるなど,より高感度の検定法が必要であることがわかった.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

FLS1遺伝子プロモーター誘導活性を検定する手段として,同プロモーターの下流にレポーター遺伝子を連結したベクターを導入した植物材料を作製した.当初は増殖が容易な毛状根培養系を用いる予定であったが,FLS1遺伝子の発現には地上部由来の未知因子が必須であることがわかり,時間がかかる再分化植物体を作製したため.

今後の研究の推進方策

FLS遺伝子の誘導因子として予想される細菌由来の成分のうち,鞭毛タンパク質の一部(フラジェリン)別のフラボノイド生合成系を誘導する事が連携研究者らの研究で明らかとなった.そこで最終年度は,人工的に合成した各種フラジェリンのFLS遺伝子誘導活性の調査を重点に置くこととした.

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (9件)

  • [雑誌論文] The soybean F3 H protein is localized tothetonoplast intheseed coat hilum2012

    • 著者名/発表者名
      Toda, K., et al
    • 雑誌名

      Planta

      巻: 235(In press)

    • DOI

      10.1007/s00425-012-1590-5

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Triterpene Functional Genomics in Licorice for Identification of CYP 72A154 Involved in the Biosynthesis of Glycyrrhizin2011

    • 著者名/発表者名
      Seki, et al
    • 雑誌名

      Plant Cell

      巻: 23 ページ: 4112-4123

    • DOI

      10.1105/tpc.110.082685

    • 査読あり
  • [学会発表] ダイズのファイトアレキシン生合成系の新規プレニル基転移酵素遺伝子2012

    • 著者名/発表者名
      米山恵介, ら
    • 学会等名
      第53回日本植物生理学会年会
    • 発表場所
      京都産業大学(京都)
    • 年月日
      2012-03-18
  • [学会発表] フラボノール生合成の改変が根粒形成に及ぼす影響2012

    • 著者名/発表者名
      今泉隆次郎, ら
    • 学会等名
      第53回日本植物生理学会年会
    • 発表場所
      京都産業大学(京都)
    • 年月日
      2012-03-18
  • [学会発表] アヤメ属由来2-ヒドロキシフラバノン合成酵素cDNAを用いたシロイヌナスナでのイソフラホノイト生産2011

    • 著者名/発表者名
      吉田隼, ら
    • 学会等名
      日本植物学会第75回大会
    • 発表場所
      東京大学駒場キャンパス(東京)
    • 年月日
      2011-09-19
  • [学会発表] 根粒形成におけるフラボノールの役割2011

    • 著者名/発表者名
      今泉隆次郎, ら
    • 学会等名
      日本植物学会第75回大会
    • 発表場所
      東京大学駒場キャンパス(東京)
    • 年月日
      2011-09-19
  • [学会発表] 単子葉アヤメ属植物のイソラボノイド骨格合成酵素遺伝子2011

    • 著者名/発表者名
      明石智義, ら
    • 学会等名
      第29回日本植物細胞分子生物学会大会
    • 発表場所
      九州大学箱崎キャンパス(福岡)
    • 年月日
      2011-09-08
  • [学会発表] ミヤコグサ由来フラボノイド8-水酸化酵素遺伝子の単離と機能解析2011

    • 著者名/発表者名
      嶋田典基, ら
    • 学会等名
      第29回日本植物細胞分子生物学会大会
    • 発表場所
      九州大学箱崎キャンパス(福岡)
    • 年月日
      2011-09-08
  • [学会発表] 脂質メタボロミクスによって明らかにされたリン欠乏条件下に誘導される新規のグリセロ脂質生合成機構とその生理学機能の解明2011

    • 著者名/発表者名
      岡咲洋三, ら
    • 学会等名
      第29回日本植物細胞分子生物学会大会
    • 発表場所
      九州大学箱崎キャンパス(福岡)
    • 年月日
      2011-09-07
  • [学会発表] ダイズのイソフラボノイドファイトアレキシン生合成系の新規プレニル基転移酵素遺伝子2011

    • 著者名/発表者名
      米山恵介, ら
    • 学会等名
      第29回日本植物細胞分子生物学会大会
    • 発表場所
      九州大学箱崎キャンパス(福岡)
    • 年月日
      2011-09-07
  • [学会発表] Shionone synthase, an oxidosqualene cyclase of an Asteraceae plant that yields a uniquetetracyclic triterpene ketone : molecular cloning and evolutionary view2011

    • 著者名/発表者名
      Ayabe, S., et al
    • 学会等名
      XVIII International Botanical Congress(第18回国際植物学会議)
    • 発表場所
      Melbourne Congress and Exhibition Centre(オーストラリア)
    • 年月日
      2011-07-29

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公開日: 2013-06-26  

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