研究概要 |
申請者は,メガダイバーシティセンターと呼ばれる生物資源の豊富な熱帯資源国にアクセスし,多様な植物資源を利用することで,新しい環骨格を有する多環性含窒素骨格を有する機能性分子を見出してきた.これらの多環性アルカロイドを用いて新しい多機能性分子を開発するとともに,既に数百種もの保有する未利用資源植物の抽出物ライブラリーを用いて,新しい機能性を有するアルカロイドを探索し,創薬リード化合物を創製することを目的として検討した. 抗マラリア活性を有するCassiarin Aを創薬素材分子とした合成化学的手法による構造活性相関の検討を行った結果,Cassiarin Aの窒素原子に芳香環の置換したアナログに強い抗マラリア活性を見出した.また,マレーシアにて採集した熱帯未利用植物資源600種を用いてライブラリーを構築して,各種ヒト由来のがん細胞を用いた増殖阻害試験,抗炎症スクリーニング,血管平滑筋弛緩作用のスクリーニングを開始した. さらに、活性を示した植物抽出物のなかで,キョウチクトウ科Leuconotis griffithiiより細胞増殖阻害活性を示すBisleuconothine A,キョウチクトウ科Hunteria zeylanicaより血管平滑筋弛緩作用を示すBisnicalaterines BおよびC,キョウチクトウ科Alstonia pneumatophoraより抗炎症作用を示すAlsmaphorazine AおよびBを発見し,これらの新しい多環性アルカロイドの構造を解明した.
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