研究課題/領域番号 |
22510250
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研究機関 | 独立行政法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
秦田 勇二 独立行政法人海洋研究開発機構, 海洋・極限環境生物圏領域, チームリーダー (20399562)
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研究分担者 |
鶴若 祐介 独立行政法人海洋研究開発機構, 海洋・極限環境生物圏領域, 技術研究副主任 (30533856)
西 真郎 独立行政法人海洋研究開発機構, 海洋・極限環境生物圏領域, 技術副主事 (50416004)
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キーワード | 深海生物 / バイオリソース / 遺伝子 / 細胞 |
研究概要 |
本申請課題は希少な生物資源を持続利用可能なバイオリソースへと変換するための新たな試みを目的とした研究である。研究代表者らの所属する海洋研究開発機構は深海領域の生物調査を行っており、深海から新種の多細胞生物が高い頻度で次々と検出されている。新規性の高い生物から新規性有用物質が発見されると予想できるので、今後、深海多細胞生物から医薬、化粧品、食品、工業分野に有用な物質の発見が期待できる。ここで問題なのは、深海多細胞生物は「捕獲できる個体数が大変僅か」であり、さらに「飼育培養によって個体を増やすことが大変困難」なことである。そこで研究代表者らは"希少生物"を「増幅できるバイオリソース」に変換するという新たな試みを目指す。つまり深海多細胞生物からの遺伝子ライブラリー(増幅可能)や細胞ライブラリー(増殖可能)を作製し、これらをリソースとして有用物質の探索・性質解析・応用検討を展開していく。従って本課題の研究目的は深海生物群を貴重なバイオリソースとして有効に利用する為に、多くの深海由来多細胞生物の遺伝子ライブラリー・細胞ライブラリーを作製することにあり、その為の効率的な手法等も開発することにある。2年目である23年度は深海由来多細胞生物7種からの遺伝子ライブラリーを構築できた。また細胞ライブラリーの作製に関しては深海由来多細胞生物2種の細胞の継体培養に成功した。今後は同様にライブラリー化を進めるとともに、これら細胞株の安定な保存法・再生法の条件を探していくこと、並びに遺伝子ライブラリーに関してはより実践的なタンパク質発現ベクターを用いたライブラリーも構築し、目的酵素などの探索に応用しで、その実用性も評価したい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は想定を上回るペースで研究が進んだが、2年目にあたる本年の調査航海は大地震後の東北海域調査などが優先であった為、深海生物の調査航海は大幅に予定変更となり、深海生物サンプル自体が取得しにくい状況であった。しかしながらその間、新たな細胞調製法の開発やライブラリーの評価など今後の研究に大きなプラスとなる研究成果を出すことができ、総合的には順調に進展していると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、深海生物から染色体DNAを調製し、これを扱いやすいサイズに断片化後、容易に増幅できる宿主ベクター系に導入し、遺伝子ライブラリーを構築する。さらに深海生物の組織から培養可能な細胞を調製し、凍結保存・融解後の培養条件なども検討し、安定に操作できる細胞ライブラリー化を目指す。後半は遺伝子ライブラリーをタンパク質発現効率・機能性維持率の高い発現ベクター系に導入し、目的酵素の発現・探索を試みる。細胞培養に関してはこれまで本申請課題研究において蓄積されている細胞化効率の向上に大変重要なノウハウを深海生物だけでなく他海洋生物にも応用してその汎用性を評価する。
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