本研究の目的は、現代パレスチナ文化の担い手たちの思想、実践、アイデンティティ及び、彼らを取りまく政治、経済、社会環境を、作品の分析に加えて、当事者たちへの聞き取り調査や活動の現場の実地調査を通じて明らかにすることにある。 最終年度にあたる26年度には、過去4年間に蓄積してきた資料やデータを整理し、最終成果報告書としてまとめることを目指した。また、追加資料やデータの収集のため、研究協力者の田浪亜央江氏がパレスチナ・イスラエルへの出張を行った。 成果報告書は冊子の形で刊行し、近日中にウェブサイトでも公開する準備を進めている。報告書は二部構成になっており、第一部の論文編には研究代表者の山本による「レバノンにおけるパレスチナ文化の現状」と、研究協力者の田浪亜央江氏による「パレスチナにおける文化活動の現状―ヨルダン川西岸地区における文化関係団体の役割を中心に」を収録した。第二部の資料編には、現代パレスチナ文化の中心的な担い手である6名(劇団主宰のジョージ・イブラヒム氏、音楽院代表のスハイル・フーリー氏、画家のスライマン・マンスール氏、財団理事・映画プロデューサーのオマル・カッターン氏、映画監督のハーディー・ザッカーク氏、NGO代表のムウタッズ・ダッジャーニー氏)のインタビュー集と、パレスチナ・イスラエル地域で文化・芸術活動に取り組む諸団体に関する情報をリスト化した「パレスチナ文化関係団体リスト」を収録した
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