本研究は、現代パレスチナ文化の担い手たちの思想、実践、アイデンティティ、彼らを取り巻く政治的・経済的・社会的環境を、作品の分析に加え、当事者への聞き取りや活動の現場の実地調査を通じて解明することを目指した。調査はヨルダン川西岸地区とレバノンを中心に行い、ヨルダン川西岸地区については近年、極めて活発な活動が認められる文化センターやNGOといった文化関係団体の役割やネットワーク、援助のあり様などを掘り下げた。一方のレバノンでは、パレスチナ人コミュニティが置かれている苛酷な状況と、その歴史的・社会的背景を明らかにした上で、彼らの文化活動の現状や意義、ナショナル・アイデンティティとの関わりを考察した。
|