研究課題/領域番号 |
22510260
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
瀧田 修一 お茶の水女子大学, 人間発達教育研究センター, 特任リサーチフェロー (00510033)
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研究分担者 |
野津 隆志 兵庫県立大学, 経済学部, 教授 (40218334)
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キーワード | 国際協力 / メコン川地域 / 不就学 / 無国籍児童 / 教育協力 |
研究概要 |
タイ・ラオスでは1990年代後半よりミャンマー、カンボジアなどから、合法・不法を含め、百万人以上の外国人就労者が流入し、新たな教育課題が生じている。外国人就労者の移動に伴う越境児童の数は数十万人を超えると言われており、学校不就学、人身取引、児童労働、無国籍児童などの問題を引き起こしている。本研究の目的は、こうした現状を踏まえ、グローバルな教育支援ネットワークおよび、タイ・ラオスでの教育協力ネットワーク形成について調査結果を報告することである。ラオス・サワンナケート県付近では、国境周辺の住民の経済活動、観光客の増加、労働移動といった面から、人の越境移動が活発化しているが、ラオスからの労働移動の多くが不法就労の形であり、それは児童の越境に関しても同様な問題である。サワナケート県の国境での調査の結果、特にラオス側からタイ側への越境児童の実情として、彼らは不法越境・不法滞在であるため、満足に基礎教育を受けられないまま、越境人身売買ないしヒューマン・トラフィッキング、移民による犯罪や麻薬・エイズ問題に巻き込まれるケースが多いことがわかった。 タイ最大の漁業・水産加工基地であるサムットサコン県では、数十万人のミャンマー人が就労している。ミャンマー人労働者の子どもの多くは児童労働に従事し、また、不明確な受け入れ制度、言語の違いなどの要因もあり、多くの子どもが学校に行けない状態である。NGOと教委・学校の連携を「キャパシティ・ギャップ」の視点から分析し、連携形成困難の要因を説明すると、(1)意識(連携の必要性認識、関心、熱意など)(2)資源(人、経済、組織、情報など)(3)コミュニケーション(アクター間の公式協議、日常的対話の頻度や質)調査から次の3つの能力のギャップが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究代表者、研究分担者、研究協力者、現地協力者、各関係を継続しつつ現地調査の計画も順調に進められており、学会発表においても成果を公表できているため。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画の通り、ラオス、タイ、ミャンマーでの現地調査、インタビュー調査を経て分析、最終的な報告書を作成し、学会発表や論文発表等で広く成果を公表していく。
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