研究課題
東アフリカの牧畜社会における開発の阻害要因に関して、同地域で継続的に研究に従事してきた研究者たちとともに「東アフリカ牧畜社会における紛争と平和構築に関する新しい研究パラダイムの構想」に関する研究会を実施し、とくに自然環境の変化と人々の社会生態学的な適応に焦点をあてて議論をおこなった。その結果、近年にはこの地域を襲う旱魃の頻度、強度ともに高くなっていること、それはおそらく地球規模の気候変動の影響を受けていること、旱魃に対して人々は、ときには国境を越えるような長距離におよぶ移動を頻繁におこなって家畜の放牧適地を探索しつつ対処していること、そして、高い移動性は牧畜社会において重要な適応戦略のひとつであるが、それが民族間の紛争の激化や国家による国境警備の強化によって妨げられる事例が多発していることが明らかになった。ナイジェリアではニジェール川デルタ地域において石油の莫大な埋蔵量があることが発見されて以来、世界各国が競って開発に乗り出しているが、この地域に居住する住民の一部は反政府組織をつくって武装闘争を継続している。この状況を開発との関連において分析したところ、歴史的にさまざまな資源の配分が不平等におこなわれてきたことが、地域紛争の大きな要因となり、開発を阻害していることが明らかになった。また、タンザニアでの農村開発にかかわっている研究者や実務者の参加を得て「タンザニアにおける開発=発展におけるパラダイム・シフトに関する研究会」を開催した。グローバル化に揺れる農村社会の実態や実践的な取り組みに関する事例を報告しながら、持続可能な農村開発=発展のあり方について議論を深め、パラダイム・シフトに向けた多くの示唆を得た。
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文化人類学
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社会・生態システムの脆弱性とレジリアンス(梅津千恵子編)(総合地球環境学研究所 平成22年度PR研究プロジェクト報告)
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