研究課題/領域番号 |
22510266
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
住村 欣範 大阪大学, グローバルコラボレーションセンター, 准教授 (30332753)
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研究分担者 |
上田 晶子 大阪大学, グローバルコラボレーションセンター, 特任准教授 (90467522)
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キーワード | ローカル・ナレッジ / 食 / ベトナム / ブータン / シベリア / 生態環境 / 伝統文化 / 近代化 |
研究概要 |
本研究課題の目的は、食に関するローカル・ナレッジについて、ベトナム、ブータン、シベリアで調査を行い、文化人類学、開発学、生態人類学の視点から比較検討することによって、地域研究の枠組みを構築することである。平成22年度は、ベトナムとブータンで現地調査を行った。 この結果、ベトナムでは、食生産環境の近代化の中で、農村の住民が、「科学的」な知識を受容するとともに、自家用の野菜の生産に対しては農薬の使用をやめたり、「安全野菜」を生産するようになるなど、新しい知に対応した新しい実践を行っていることが分かった。一方、食物を媒介とした薬剤耐性菌に関する調査によって、複合循環農法に関する知識が、残留抗生物質や耐性菌などの目に見えない新しい脅威に対応できないままになっており、啓蒙をともなう関与が必要であることが看取された。 ブータンにおいては、標高差を利用した多様な作物の栽培とトランスヒューマンスが行われている状況について観察した。また、嗜好性について、都市住民よりも農村部の住民の方がトウガラシを多用した辛い食事をしているという言説みられるが、実際に農村の住民の方が辛いものを好むかどうかは、さらなる調査が必要である。「健康的な食事」については、「腹もちの良い食事」と理解されることが多いことも分かった。それは、農村部で特に顕著であり、肉体労働に従事している農家の人々の生活を反映したものと考えられる。 シベリアに関しては、文献調査とこれまでの研究成果の取りまとめを行った。その結果、エヴェンキ人の肉食と生態環境について、特にトナカイとヘラジカを通した環境認識が行われていることが明らかになった。 以上の研究成果によって、3つの対象地域の調査結果を文化人類学、開発学、生態人類学の視点から比較検討を行なうためのデータの一部を取得した。次年度の調査では、ローカル・ナレッジの構築状況について考察が可能となるよう、さらに調査を行い、データを収集する見込みである。
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