研究課題/領域番号 |
22510269
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
細川 道久 鹿児島大学, 法文学部, 教授 (20209240)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | カナダ / 白人性 / 移民 / 中国人移民 / 日系移民 / イギリス帝国 / 優生思想 / アメリカ合衆国 |
研究概要 |
本研究は、19世紀末~20世紀前半におけるカナダ社会の「白人」支配の動態的・構造的実相の解明を目的としている。具体的には、「白人」と「非白人」の間のグレイゾーンに位置していた人々、ないしは、グレイゾーンを往来するといった境界領域を横断する行為がいかに管理されていたのかについての考察を目指している。 3年目にあたるH24年度は、これまでの史料調査・考察結果をふまえて、「白人の外なる脅威」(=非白人)に対する処遇の考察と、「白人の外なる脅威」(=白人)に対する処遇の考察を結びつけて、内外からの脅威を受けつつ揺れ動く「白人」支配の様相を描写した『「白人」支配のカナダ史――移民・先住民・優生学』(彩流社、2012年)を出版した。 さらに、昨年度の史料調査において、「白人女性労働法」の制定・改正・廃棄の動きがカナダ内部のみならず、カナダ・中国・日本・インド・イギリスの5者間の関係に影響を受けていたことを見出したことから、それを跡付けるために、カナダおよび日本の外交文書の調査を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
これまでの史料調査・考察結果を、著書としてまとめることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度にあたるH25年度は、「白人女性労働法」の制定・改正・廃棄をめぐるカナダ・中国・日本・インド・イギリスの動きを包括的にとらえるとともに、それをアジア太平洋地域の移民の動きと結びつけて考察したい。それによって、カナダ社会内部に向けられた政策と、カナダのみならずアジア太平洋地域全般で実施されていた対外的な移民政策を一体的に把握することを目指したい。 さらにまた、「白人女性労働法」よりも、より一般的に女性の行動を規制・管理したと思われる「女性保護法」にも注目し、カナダにおけるジェンダーと人種の規制・管理のあり方についても考察するため、史料調査を実施したい。
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