本研究は、19世紀末~20世紀前半のカナダ社会における「白人」支配の動態的・構造的解明を目的とし、「白人」と「非白人」の間のグレイゾーンに位置する「中間的存在」の管理のあり方を「白人」社会の「外なる脅威」と「内なる脅威」の処遇を手がかりに考察した。「外なる脅威」として中国人移民と先住民の処遇を考察することで、「白人性」を汚すモラル無き彼らの領域横断行為を管理した点を析出し、それが、健常・正気という「白人性」を否定する「内なる脅威」として生殖までも管理された精神薄弱者の処遇と通底する点を指摘した。以上から「白人性」を基盤とする「白人」支配のあり方を描くとともに、その脆弱さも明らかにした。
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