シンテグレシュカ大学のアーカイブに蓄積されている大学創設関連資料(大学設置準備委員会議事録)、部族議会への年次運営報告書を閲覧、複写した。議事録は完全ではなく、事実関係の確認は、多くを関係者への聞き取りで補わなければならないことが、判明した。関係者には物故者も多いが、リストを作成し、今後聞き取りの手順を確立する。創立式典、初期授業風景などの映像資料は一部残っており、閲覧調査をおこなったが、創成期の大学の息吹を確認できた。また大学の創立者であるスタンレー・レッドバード・シニアの遺族であるスタンレー・レッドバード・ジュニア(長男)とは面会でき、家族しか知り得ない、創立者の一面、創設時の苦労、創設後の大学人事のダイナミズムなどを聴取した。メリー・スー・ウォーキング・イーグル(長女)、ポーリン・ハッカー(孫)から聞き取りは、当人たちが保留地を離れており実現しなかった。2011年度を期したい。 創設者の依頼により、設立当初から学長を務めるライオネル・ボルドーとは、長時間のインタビューを行うことができ、おもに彼が学長になるまでのライフストーリーを聴取することができた。貧困家庭から出発して、インディアン子弟が高等教育を受けるモーチベーションの背景や意識に関して、貴重が知見が得られた。さらに民族文化教育をになう「ラコタ学部」設立の経緯を設立時より教員を務めるビクター・ドヴィル教授から聞き取り、民族文化学部の部族社会における独特の役割、就中それが果たすコミュニティとの連携機能の重要性の認識を新たにした。
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