研究課題/領域番号 |
22510277
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
阿部 珠理 立教大学, 社会学部, 教授 (50184213)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 文化再生 / 部族大学 / 部族コミュニティ |
研究概要 |
24年度は、シンテグレシュカ部族大学の6学部の学部長ならびに教員のインタビュー調査に重点をおいた。基本の質問項目は以下の通りであるがこれらに付随するさまざまな質問も行った。1.教員の学歴・教歴、2.部族大学で教えることを希望した動機、3.学生の学力パフォーマンスへの評価、4.学生の勉学意欲への評価、5.勉学阻害要因の分析、6.勉学阻害要因排除への教員のコミットメントの有無とその内容、7.教育環境への評価、8.認定機構の評価に対する意見、9.教員としての満足度、10.卒業時の学生の学習達成度、11.卒業後の進路、である。協力者は、以下の通りである。 スタンレー・レッドバード・ジュニア、ビクター・ドヴィル(ラコタ学部)。シェリル・メデリアス(教育学部)。ノラ・アントウェイン(ビジネス学部)。ジム・プレイリー(科学部)。シェリル・クレイン、ラフィ・モンテベロ、ジュリア・ケイヒル (ヒューマンリソース学部)。リサ・クルッグ(人文学部) これらのインタビューを通じて、教育者サイドの部族大学教育に対する意識、見解、要望がかなり明らかになったことは大きな収穫であった。ことに教育環境を向上させるための外部資金の獲得、学生の就学意欲を喚起するための方策の策定、提案と実践など喫緊の課題が明白になった。また全学部の教員に面談することによって、カリキュラムや学生支援にかかわる学部間の情報交換や連携が不十分であり、連携を実質化していくための制度、機構の構築も今後の重要な課題であることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の目標である部族大学教員のインタビューを概ね完了することができた。また部族大学が3年おきに西北大学認定機構に提出することが義務づけられている報告書を入手することができた。教員との繋がりの構築により、カリキュラムデータやアセスメントデータも入手した。インタビューデータ、およびこれらの文書資料から、学生の就学意欲の低調や学力不足、教員のモラール、教員間の連携や教育的オートノミー、財政など、部族大学が直面する諸問題を明らかにすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
25年度は完成年度にあたり、これまで調査における不足部分や不備を補完してゆく。ことに卒業後の学生の部族社会における貢献あるいは非貢献の実態をおもにインタビュー調査を通じて明らかにしてゆく。卒業生のスクリーニングはまだ4割方程度であるが、関係を構築した学部長に対し、卒業生の紹介をすでに依頼しており、本夏はこれに基づき、インタビューを続行する。また本プロジェクトの成果を広く社会に還元するため、10月には部族大学教育の部族社会の再生にむけての貢献をテーマに、立教大学においてシンポジュウムを開催する。パネリストの一人であるNative American College Fund理事長のシェリル・クレイジーブル博士の招聘にはすでに本人の承諾を得ている。年度末には成果を日本社会ばかりでなくアメリカ社会にも還元するため英文報告書を作成したい。
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