本年度は、ワーク・ライフ・バランス促進的な人事労務管理を推進している企業等の新たな取り組みとその影響に関する研究に取り組んだ。 第1に、自治体関係の労働組合の協力を得て、公務労働者の労働時間の管理や実態、職場の問題点などに関して聴き取り調査を行った。具体的には、自治労連の女性部その他の役員から労働時間制度、育児・介護休業制度や短時間勤務・部分休業(無給)の概要と利用実態について聴き取りを行った。その結果、昇進試験の時期と出産育児期が重なるために女性が大きなストレス・不利益を抱えていること、また多くの女性公務労働者の希望の多くは仕事と家庭生活の両立であって、他方を犠牲にする働き方・生き方に対する不満が強いことなども明らかになった。 第2に、その結果をふまえて、職場のワーク・ライフ・バランスに関する実態調査の調査票を独自に設計し、自治体関係労働組合の協力を得てアンケート調査を実施した。調査票の設計にあたっては、夫と妻の働き方の組み合わせにより仕事と生活の調和のさせ方や満足度に違いがある場合にはそれが明らかになるように工夫した。 第3に、産業・企業・自治体や厚生労働省などのワーク・ライフ・バランスへの対応に関する情報・資料(含む1次資料)の収集と整理を行った。茨城県、県内次世代育成認定企業、茨城労働局等の資料収集・聴き取りを行った。 第4に、研究の途中で明らかになったことは、社会政策学会での報告の一部として活用した。また、「ビジネス戦略としてのワーク・ライフ・バランス経営」というテーマで民間企業の経営者やコンサルタントが集うセミナーでワーク・ライフ・バランス経営のメリット・意義とその変化について実例紹介しながら講演し、社会への還元も行った。
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