本研究は、教師と生徒のジェンダー意識や達成意欲認識の相違を踏まえた両者への調査を通して、高校生の将来像、達成意欲を明らかにすることを目的としている。本年度は(1)調査地域や調査対象校の特定、(2)アンケート調査項目策定に向けた教師ヘヒヤリング調査を行った。 (1)小学校、中学校の児童生徒と教師を対象とした先行調査研究(東京都国分寺市、神奈川県相模原市、及び福島県で実施)と比較検討することを念頭に、今回の高校を対象とした調査は、国分寺の小中学生が進学する学校所在地である東京都西部地区に限定することとした。調査対象校を絞るために、すべての東京都立高校の学校概要を収集し、教育目標等をクラスター分析により分類した結果、5類型(進学準備・部活と進学・居場所としての学校・資格と就職・脱落防止)に分けることができた。 (2)教師と生徒へのアンケート調査項目設定のための課題把握のために、職業課程の多い資格・就職を除く4類型から4校ずつ計16校を選んで、その学校の生徒指導、進路指導担当教員(3年生担任)に2名にヒヤリング調査を行った。その結果、4年制大学への進学者の多少によって相違があった。すなわち進学校では、生徒も教師も意識や将来設計にジェンダー差がなく、ジェンダーを意識した生徒指導を行っていない。進学校でない学校では、生徒の性別役割分担意識や将来設計、進路に明確なジェンダー差が生まれており、そうした生徒の実態に合わせる中でジェンダーを区分した指導になっていることが確認できた。調査項目作りでは、それらを踏まえ、ジェンダー意識に関する直接的な設問だけではなく、生徒の実態にそった進路指導・生徒指導の仕方などの具体を調査項目に加える必要があることが明らかとなった。
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