本研究は2009年9月に「国際的な視点から見た化学、コンピュータ科学、数学における女性研究者の地位」に関するプロジェクトに参加したことから構想され、そのプロジェクトに寄与することを目的として研究を進めてきた。しかし、主催団体であったCPSTが財政的理由で閉鎖され、昨年度は若干継続が危惧されたが、全米科学財団のプロジェクト(DRL-0906369)となって本年度2011年4月3日(日)~4日(月)の2日間にわたりワシントンD.C.で、これまでの総括と全体的展望が示された。そのワークショップのタイトルはBlueprint for the Future : Framing the Issues of Women in Science in a Global Contextと示され、小川も第1章の担当者として、化学、コンピュータ科学、数学における女性研究者に関する歴史的スケッチのプレゼンを行った。 その後、秋になって2度電話会議が開催され、2011年の年末までにウェッブサイト上の研究報告のアップを行うことが確認され、並行して出版社を探し、500部程度の出版が検討された。しかし、作業は大幅に遅れていて、現在この報告書を作成している3月段階でもまだ公開できない状態である。したがって、本研究の全容が明らかにならないので、日本への紹介は中断している。ただし、同じくジェンダーと科学技術という観点からEUの最近10年の動きをSTS学会で発表し、大学紀要『人文論叢』に成果を発表した。 またコンピュータ科学については、アメリカにおける女性研究者の少なさについて講義で言及した。また、こうしたアメリカを中心とした世界的プロジェクトから特に期待されているアジアからの発信を強化するために、科学技術社会論学会柿内賢信記念賞の学会賞による助成金で「東アジアにおける『女性と科学/技術』」をテーマに2012年1月に台湾と韓国の研究者とワークショップを行った。
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