現在国家試験合格者の3人に一人が女性だが、年代別にみた場合その数は30代をピークにして以降急激に減少する。これは一旦現場から離れそのまま復職を諦めた女性医師が数多くいることを示唆している。特に大学病院勤務の女性医師においては診療科を問わず,30代以降離職する割合が多く、問題となっている。 現在女性医師の専門科選択をみると、診療科による偏在がみられ、皮膚科、眼科、小児科、麻酔科、産婦人科などの女性の割合が多く、こうした診療科において女性医師の離職率が高ければ、医師の不足が顕著となる。一方、医師不足が叫ばれ、特に外科においては医師数の減少率が最大で、入局者数をみても減少が顕著に見られている。このような科においては、女性医師の専門科選択及び勤務継続が絶対的に必要な状況である。また、性差医療の観点より近年様々な分野で女性医師が要望されており、現在女性医師の割合が少ない分野でも今後ますます女性医師が活躍する必要があり、様々な観点から、女性医師が補助的な役割でなく、実戦力として活躍し続ける必要性が増している。 平成24年度は(1)平成23年度に女性医師のキャリアやワークライフバランスへの認識を明らかにするために日本と米国、香港との3カ国の女性外科医を対象に施行したアンケート調査を論文化した。(2)平成23年度に女性医師のキャリアやワークライフバランスへの認識を明らかにするために日本と米国、香港との3カ国の女性外科医を対象に施行したアンケート調査をバイアスを取り除くための統計処理を行い、再検討した。この結果は平成24年4月に開催された第112回日本外科学会定期学術集会にて発表した。(3)(1),(2)の結果から、女性医師がリーダーシップを発揮して行くことが今後重要との結果が認められたため、さらに、日米における現在のリーダー(外科教授や団体、会社のトップ)にアンケートを施行した。
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